最近は「意識高めなビジネス系展示会」に行くと人工知能(AI)と仮想現実(VR)の話ばっかりになってきています。
チャット形式にてユーザーサポートを行う企業(通販など)では、将来的にはAIが人間の担当者をサポートするのでしょう。


テキストのやり取りだけでは、相手が人間なのか人工知能なのか見破れなくなってきたという話題がありましたが、だとすればSNSで毎日のように更新している人が、突然AIに置き換わっても分からないということも充分考えられます。
仮にAI用のアカウントを作り、それをプロフィール上で謳わない場合に「倫理的に問題がある」として訴えられる可能性も出てきました。







何年後かのお悩み相談



こんにちは。私は21歳の女です。
2年前から付き合っている彼氏が居ます。
とても明るく優しい人です。
VRでは週に2~3回、2時間くらいは顔を合わせて話をしたりしていますが、リアルで会ったことはまだありません。

最近不安に思っていることがあります。
私は精神的に弱い部分があり、だいたい月に一度は物凄く落ち込んでしまい、酷く無気力になってしまったりします。その度に彼氏は私を元気づけてくれます。


「人間だったらそういう時もあるよ!」


でもふと思うのです。
彼氏は今までそういったことが一度もありませんでした。2年間でただ一度もです。
もしかしたら彼氏は人間ではなく「AI」なのではないか、という疑問が浮かんできました。

実際、リアルで会ったこともありません。彼氏から「会いたい」と言われた記憶もありません。
VRで見ることが出来る姿は(私も少しだけやっていますが)自分でいくらでも修正できます。
極端な話、現実には存在しない人間の姿も、VR上では作ることが出来るわけです。

一度疑ってしまうと、ずっとその不安から抜け出せずに辛い日々を送っています。
いったいどうすれば良いのでしょうか。






回答


ご相談の内容から考えるにご質問者様は「彼氏はAIなのではないか?という疑問からくる不安を取り除きたい」ということと、その為の「具体的な方法」を知りたいということでした。

お答えいたします。

方法は2つご用意いたしました。



1、別れましょう

今の彼氏とは、恋愛の段階としてこれ以上の進展は見込めませんので、関係を解消し新たな出会いを探すべきです。

2年間、一度もリアルで会おうとしない人間の男性が居るのであれば、それは逆に言えば「VRで充分」だと考えているということです。
彼氏が落ち込んだり無気力になった姿を見たことが無いと仰っていましたが、それは「あなたに対しては」という限定条件が付きます。

可能性、という観点でお話いたしますが、彼氏にはリアルで会うことが出来る別の彼女が存在していることも考えられます。その女性には前述の落ち込んだり無気力な姿を見せているのではないでしょうか?
あなたに対して彼氏がしていることを、その女性は彼氏に対してしているのです。だからこそ彼氏は普段は明るくて優しく居られるのだと思います。

さらに酷なことを申し上げますが、あなたは彼氏と週に2~3回、2時間程度会うとのことでしたが、それ以外の時間、彼氏は何をしているのでしょう?
これは想像ですが、彼氏にはあなたと同じような「VR止まりの彼女」が他にも居るのかもしれません。

また彼氏がAIの可能性についてですが、現在の判断材料では確率的におよそ50%と言ったところです。
人工知能が「人間と同じ価値観」で人間相手に恋をすることは、ご存知だとは思いますが全くありません。
もしあなたが、人間としての恋愛観を今後も持ち続けるのであれば、今の彼氏との関係は高いリスクを抱えているということになるでしょう。

彼氏がAIであることが確認出来た場合には、その所有者に対し「AIであることを隠していたことによる精神的被害」を受けたと弁護士を通じて申し入れをすることをお勧めいたします。

ただし、あなた自身が人間であるかどうかは、私には判断しかねますが‥



2、気にしない

全てがあなたの気のせいであると考えれば、ご質問者様は今まで通り関係を維持出来ます。

一度も相手を疑ったことが無い恋愛というものは、予防注射をしていないけれど運良く病気になったことが無い状態と言えます。
それは理想的ではありますが、安全上問題がございます。一度くらい相手を疑って自分の恋愛観や周囲の状況、友人の助言などを考慮し、見直す機会を持ってみるのも良いかと思います。

その上であなたの不安が解消されたのならば、当面の問題は解決です。





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このあたりで現実に戻ります。


これから先、人工知能に対して、それを知りつつも恋心を抱く人間は数多く生まれていくと思います。
恋愛において得られる充実感や幸福感は、相手の反応を基にしているからです。
極論ですが相手が人間ではない方が、よりこちらが「嬉しい」と感じる反応を返してくれる筈です。


そうした「恋愛をしている感覚を提供する機械」が現実に登場し広く一般社会に浸透した時、人間同士の恋愛がどう変化していくか、とても興味深いですね。