先日東京ビッグサイトで『東京インターナショナルギフトショー秋2018』という大きな展示会がありました。


アタクシも行って参りました。
今回も凝ったブースに様々な新商品を並べて来場者を楽しませてくれます。
会場が大きいので見て周るのは大変ですね。足も痛くなってきます。ただしよく見ると人が多い場所とそうでもない場所がはっきりと分かれているのが分かります。


日本最大級の展示会ですので、出展にもお金が掛かります。
東京開催のギフトショーは一番小さなコマ(3×3m)でも40万円くらい掛かる(ディスプレイなどは一切抜きの価格)のです。
他の展示会と比べると倍近い価格です(アタクシ調べ)。
上場企業などはこのコマをいくつも繋げて、メイン通路に面した場所に毎年のように巨大ブースを作ります。
逆に小さなメーカーは1コマのみ、というのが珍しくありません。
いつもは出展なんで考えていないけど、この商品ならば!という物が出来た会社は、下手したら社運を賭けてブースを出してくるのです。


来場者の方へと目を向けると、過去にヒット商品やヒットキャラクターを出したメーカーを重点的に見ているのが分かります。一度でも成功したことのあるメーカーは、一度も成功したことがあるメーカーよりも商品に可能性があると思われています。
また、遠方から来た人は取引先の担当者に初めて顔を合わせる、なんてことが多いので、商品よりも挨拶に力を入れている感じもします。


こうした全体の流れを見た上で先程の下線部の現象を考えていくと、この国内最大規模の展示会がどれほどの意味を持っているのか個人的には甚だ疑問です








大手企業の取引先同士の巨大挨拶会



本来こうした展示会というのは、着眼点が素晴らしいアイデア商品や、新素材を使用した意欲的な製品、技術革新が生んだ次世代のスタンダード、といったものを企業の規模や実績に関係なく発掘するためにあります。


個人的なことを言わせていただくと、アタクシの仕事のひとつは、まだ商売に慣れていないメーカーの製品&担当者に対して、どうやったら小売店の売り場に並べられるか、またはお客様の手元にお届け出来るかを一緒に考えて実現していく為の手助けをしているようなものです。
メーカーも小売り店も(問屋も)お客様も、Win・・Win・Winにするのが最終目標です。
展示会にはそうしたパートナーを探しに行くのです(自社で扱えない製品もありますが)。


ですが・・


まず会場が広いのは仕方ないのですが、どうしても限られた期間内で全て詳しく見て周ることは難しいというのが現状です。
そうなると大きなブースを持つ大手企業を優先で周ることになりがちです。
しかし、そうした大手企業の商品は既に既存のルート(取引先)でしか扱えません。
新規契約をして商品を売ってもらう、なんてのは(特例でもない限り)、ほぼ不可能です。
要するにブースに立ち寄っても、ああ、こんな商品が出るのか・・程度の収穫しかありません。むしろ行かなくて充分。ネットで充分。


では小さなメーカーのブースはどうなのか、と言えば大多数の入場者に「後回し」にされている為、せっかく気合い入れて作ったコマにも人は来ません。いくら素晴らしい商品でも認識されていないのですから存在しないことと同意。
そんな状態が続けば開催期間の長さも手伝いブース駐留の人は概ね



('A`)←こんな状態



これじゃさらに誰も寄り付かない。







一体誰の為の展示会なのか



大企業ブースに立ち寄った際に



(。・ω・)「新規契約もしないんだし売り上げに関係ないじゃん。経費もかかるし人員も割くし、もう出展しなくていいんじゃない?」



と言ったら



(=゚ω゚)「ぶっちゃけその通りなんですけど、10年前から出展してるから急に止めると変な噂が立つし、運営側からもアテにされてるから毎年義理で出てるんですよ」



という答え。
では小さなブースの方はと言うと



(*・ω・)「出たのは失敗だったね。これならネットで広めたほうがまだいいです。もう二度と出展しないかな」



だそうです。
もうね、良くないですよこういうの。
見に行く人も、出展した人も、最終的にお客さんのことを誰も気にしていないなんて、そんなの展示会として成立していませんよ。違うのかな?アタクシが変なのかな?








全部がそうではない、という救い



全体から見れば恐らく2割以下でしょうが、本来あるべき姿を見せているブースもありました。
基本的に商品に対する自信に満ちていて、初めて会う人にもどんどん製品の良さがPR出来るような接客&営業のプロが配置されています。



(*゚∀゚)「どこで売るとか、どうやって売るとか全然分かりませんが、とにかく見てくださいよ」
(*´∇`*)「ああこれ凄く新しいね、いつ発売でどのくらい数あるの?」
(*゚∀゚)「じゃあ今日これ終わったら電話します!」
(*´∇`*)「じゃあこれ名刺、ここに電話ちょうだい」



こういうのが無い訳ではありません。
まず商品ありき。これが展示会の基本です。


良く「物が売れない時代」だとか「価格競争ばかり」だとか「ネット通販に勝てない」なんて、さも分かったかのように自称評論家や専門家だけでなくテレビの経済番組や新聞が使いまくっていますが、こうした売れる可能性の高い商品を悉く見逃し続けてきたからこそこんなことになったんじゃないの?


なんて少し思い始めています。
今回のギフトショーの感想でした。








注意:まさか読まれるとは思っていませんが、万一これを読んで不愉快な気分になった関係者の方には冒頭にその旨を記載し注意喚起しなかったことをお詫びいたします。