実際にMODを作ってみて感じたことは、メジャーマイナー問わずモダーと呼ばれる製作者の方々が、非常に苦労しつつアイデアを形にしているんだな、ということ。その中でいかにオリジナリティを発揮するかに頭を悩ませているということ。

本業を持っていながらも、そんな製品を何十台も比較的均一化された品質で製作している方がいるのだから驚きです。


少なくとも国内であれば、生業としてMODを製作販売するより、どこかで時給いくらかのアルバイトをした方が余程儲かる筈です。
それでも作る、というのは『向いている』だけでなく『VAPE愛』がそうさせているのでは?と感じます。


オリジナルMODを作ってみて一番の収穫だったことは、やはりそうしたことを再確認出来たことや、流通している製品について、今までと違った視点から見た魅力が感じられるようになったことだと思っています。


今回はMODの自作について、素人が構想から完成までで気付いたことをまとめてみました。
プロ目線のものとは違った、やや身近な資料としてご覧頂ければ幸いです。











《VAPE用プラスチック製『レギュレーテッドBF対応MOD』の製作についての総括》




『素材について』



主材


プラスチック板


本体の素材として採用したのは市販のプラスチック板。

・タミヤ製プラバン1.7mm
・ウェーブ製プラプレート1.0mm

の2種。


入手が簡単かつ安価。
切断と接着についても特別な工具を必要としないことが大きな利点。


ただし反面、衝撃や加重に掛かり方によっては割れや歪みが発生する。
歪みについては使用する素材の厚みを増すことである程度解決出来るが、割れについては単体での問題解決は難しい。


100℃を超えると膨張や収縮といった変形の可能性があるが、それを逆手に取れば曲面を作ることも可能である。
VAPEの場合は使用中にアトマイザーが高温になり、その熱がMODに伝わることが考えられるが、プラスチックを大きく変形させる為には、該当箇所を広い範囲で加熱させる必要がある。一か所を熱してもその熱は周囲に逃げてしまう。
アトマイザーの熱でMODの素材に使用したプラスチッックが変形するには、コンタクト部分全体の温度が継続的に100℃以上をキープするような条件が必要であると言えるが、そのようなケースは製品の機能不良発生時に限られる。


以上のことからプラスチック板はMODの主素材として概ね適していると考える。





部材


510コンタクト
制御基板
リード線



BF対応の510コンタクトと制御基板については、市販のMODを分解して入手した。
ハンダ付けされている部分を一度外して再度繋げているが、その際に接点部分を綺麗に整えることなどハンダ付けの基本さえきちんと守れていれば苦労する部分は多くは無い。
出来れば市販のMODを分解する際に、鮮明な写真を何枚か撮影しておくことをお勧めする。


バッテリーから伸びる配線は基板のプラスマイナスに正しくハンダ付けされなければ、場合によって基板が二度と使えなくなる。
言うまでも無く配線のショート(短絡)には注意が必要だが、これはメカニカルMODでなくても最も重要となるポイントである。


製作するMODのデザインによってはリード線の長さが足りなくなるが、その際は無理に引っ張ったりせず、長さに余裕を持たせた新しいリード線と交換する方が良い。リード線は作業がし難くならない程度に太いものを選ぶことをお勧めする。






電池ボックス


バッテリーの収納には18650電池専用のボックスを使用した。
大電流の電池をしっかりと固定できないということは事故に繋がる可能性が増えるということである。
自作MODの場合は出来れば実績のあるお店から専用の電池ボックスを購入して使用することが望ましいと思われる。


電源のオンオフを基板に頼るので、基板と電池ボックスは常に接続状態にある。
物理スイッチで回路自体を切り離せるメカニカルと構造が大きく異なるので、製作中は安全の為に電池ボックスに18650バッテリーを入れたままにしてはならない。





その他部材(ボタン等)



使えそうなものは何でも使う。
ただしボタンについては内部で基板側を傷つけたり、配線を跨がぬ工夫や、通電しない素材を使用する方が望ましいと思われる。
金属ボタンを使用したい場合にはボタンを2重構造として絶縁材を挟むことなどが考えられる。
人体が帯びた静電気が放電した場合の基板への影響は不明だが、安全対策を基板に一任するレギュレーテッドMODにおいては、影響を最小限に抑えることが大切である。








『構造について』



本体の形状


BF対応の場合はリキッドボトルを本体内に取り外し可能な状態で収納する必要がある。
またボトルを指で押す為の穴も開けなければならない。
そうした仕様に最も適しているのが単純な箱型であることは、多くのメーカーが採用していることでも明らかだ。


大型のマッチ箱のような縦長の箱を作った場合、6つの面がそれぞれ耐加重、対ねじれに作用するが、BF対応MODの場合、この6つの面のうち1つを開放出来る構造にしなければならない。
つまり5面で加重やねじれに耐えることになる。
ここに大きな問題が生まれる。
1面抜くだけで加重とねじれに非常に弱くなることが判明した。


6面であればそれぞれの面で使用するプラスチック板に必要な厚みは2mm程度だと思われる。
だが5面の場合には2.5~3mm程度の厚みが無ければ、使用に際して不快に感じる程のねじれが発生してしまうことが分かった。






強度確保


素材の厚みを増すことでねじれは起こり難くなる。
プラスチック板の場合は容易に接着が可能で、一度素材を溶解させ再硬化させることで接着していることから、面で接着した場合剥がれることはまず無い。


幸いにも用意した1.7mmと1.0mmのプラスチック板を様々な組み合わせで貼り合わせることで、簡単に強度的に問題の無いパーツを作ることが出来た。


実験的に行ってみたのは、比較的薄いプラスチック板で作成した強度的に弱い箱で、角や辺となっている部分に内側からエポキシパテを詰める方法だ。
パテの種類により硬化後の状態に差が出るが、弾力の無いパテを使用した場合には箱の剛性がはっきりと向上したことが分かった。


パテの使用量を増やした場合には、箱の外側からやすり等で角や辺を丸くする加工をしても、強度がほとんど落ちなくなる。これによりMOD形状に自由度が生まれたと考えることも出来る。
仮に熱を加えて曲面に加工したプラスチック板の裏側をパテで補強すれば、複雑なエルゴノミック形状を裏側から疑似的なモノコック構造で支えることで、強度を確保したまま様々な形が再現出来ると思われる。


2液のエポキシパテについてはMODの主素材としての可能性についても追及していきたい。








今後について



次作については素材面と構造面で改善させていきたい。
プラスチック板については、貼り合わせが容易であることが判明したので、内側に別の素材を挟むことでコンポジット材として使用することも有効だと考えられる。


また部分的に金属素材を使用することも検討する。
素材としては加工のしやすさや入手の容易さからアルミニウムが適していると思われる。
金属を採用する理由としてはプラスチックではネジの使用が難しいことが挙げられる。
部分的に金属素材を用いることにより、強度が必要な部分の補強や全体の剛性強化が期待出来ると考える。






以上